
東京を拠点にフリーランスで文筆業その他を営む野中モモの自己紹介サイトです。
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会社組織に所属しておらず、ひとりで机に向かう時間が長い仕事をしていて、「特に用事はないけど元気かと思って」電話をかけるのが苦手で、2005年末まで海外に住んでいたこともあり高度に発達した日本の携帯電話サービスの扱いに慣れておらず、しばしば知人に「生きてる?」とか「何してるのか謎」とか言われてしまいがちな私が家の外と繋がるひとつの経路になればと思い、開設しました。
Tigerlilyland? サイト名の由来
前世紀末に東京からロンドンへ引っ越して、近況報告用に新しいウェブサイトを開設しようという時に、短くて覚えやすい名前がいいなあと考えていたら「タイガーリリー」が降ってきました。
タイガーリリー、『ピーター・パン』に出てくるネヴァーランドの酋長の娘。
ディズニーのアニメ版でなくJ.M.バリーの原作版で。
ピーターがネヴァーランドにやってきた経緯はものすごく悲しいものなのだけれど、タイガーリリーは(どこにもない国の)原住民の部族のお姫様だし人魚みたいに群れて意地悪したりしないし最高だ。
ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』に出てくるタイガーリリーもいい。お高く止まって優雅に風に揺れる、お喋りな花。
その他、英国の美術作家シール・フロイヤーによるタイガースキンの百合の花(視覚的ダジャレ作品)、楳図かずお『洗礼』を本歌取りした岡崎京子『へルター・スケルター』、元10000マニアックスのナタリー・マーチャントのアルバム、英国の白塗りキャバレーバンドThe Tiger Lilies、ウッディ・アレン/ラヴィン・スプーンフルの『What's Up, Tigerlily?』アメリカのバンドLunaの "bewitched" というアルバムの2曲目等々、熱心なファンだとは言えないけれどイヤじゃない人たちが使ってるからいいかなと思って決定。
ドメインを取る際、tigerlily.comはすでに他の誰かが取得済みだったので、tigerlilyland.comにしました。
ウォルト・ディズニー/ディズニーランド/今日の大衆文化一般に対するアンビバレントな気持ちを洒落て。
いまどきディズニー社はアメリカ文化帝国主義の悪の枢軸でディズニーランドは想像力を働かせる余地のない管理された楽園なのかもしれない。だけれど、その歴史には尊敬に値する情熱だとか労力だとか才気だとか意志だとかが圧倒的な大きさで注ぎ込まれている。
子どもの頃は学校休暇のたびにディズニーの旧作がかかる映画館に連れていってもらっていた(ビデオやDVDではなくて、昭和50年代はまだそういう時代だったのだ)。サントラを繰り返し聴いて踊って過ごした。
そういう体験の刷り込みがあるから、人と動物と草花がいっしょに歌い踊っている映像を見ると、簡単に涙ぐんでしまう。ディズニーランドにはもう10年以上行ってないけど、あのニセモノの19世紀建築を縁取る電飾が夕暮れに刻々と表情を変えていくのを目にしたら、絶対に胸が高鳴るに違いないのだ。
とはいえ、もしくはだからこそ、そこにある苦さが沁みてしまって仕方ない。
21世紀になって劇場に『ファインディング・ニモ』を観にいったとき、映画本編前に流れるCMで(これからはじめてその冒険を目の当たりにするはずの)キャラクターたちがおもちゃだかシリアルだかの宣伝をはじめたのには、「すべてがコマーシャルになる世界」に対する憤りとも恐怖ともしれない震えがきた。
そして現実世界には存在しない、データでしかない空間に「ランド」と名付けることで思い出されるのは、90年代、インターネットが一般市民の手に届くようになった頃によく言われていた、サイバースペースをフロンティアに例えるアナロジー。
開拓者精神というものに内包される創造性と冒険心と、利権争いの暴力性(そう、ワイルド・ウエストのカウボーイ)。美徳と悪徳がないまぜになったところでひとつ確実なのは、人が生きていることそれ自体の得体の知れない力、だろう。生きていることが異常事態で、何か信じがたく、奇跡的。
明るいのも暗いのも甘いのも苦いのも入り交じる、ひとことでは言い表せない気持ちのかたまり。白か黒かでなく灰色。白と黒の細かいモザイク。それに近寄ったり離れたり、向きを変えてみたりして、そのかたちを捉えようとするアクションとしての作文や工作が私は好きです。人間というものはそういうことをやらずにはいられない生き物だと思ってる。
とかなんとか言いつつ、もっと直接的なインスピレーションとして脳の底から私に働きかけたのは、知人のひとりがバッティングセンターなどが入った総合娯楽施設「某ランド」を所有している某企業グループの御曹司、と聞いていた記憶だったかもしれません。
私は東京生まれ東京育ち、相続すべき土地はない。
でも「私、ランド持ってるよ(レンタルサーバに)」と言うのは、ちょっと愉快かなと思って。
それでTigerlilyland。
お楽しみください、と言えるほどサービス精神をふるって作り込んでいるわけではない倉庫扱いのサイトですが、ここからいろいろなところに泳いでいける島のような場所(船着き場、飛行場、地下トンネルもあるかもしれない)になれれば幸いです。
2006年8月 東京にて